お薦めの逸品

涼やかな夏の装い:竺仙〜紅梅小紋〜『葵』

竺仙〜紅梅小紋〜『葵』①

日本橋「竺仙」鑑製 "紅梅小紋" をご紹介します。


日本の夏を彩る装い「ゆかた」に代表される夏の和装。着る人・見る人に涼感を与えるその装いは、湿度の高い日本の夏の気候に合わせて時代と共に変化と進化を遂げて今日に至ります。

夏の生地織物といえば「絽」「紗」「羅」など様々ございますが、「紅梅織り」もその一つ。「紅梅織り」とは細い地糸に一定の間隔で太い番手の糸を織り込み生地に凹凸を浮き出させた薄手の織物です。

そんな紅梅織りに型染めで柄を染めつけた日本橋”竺仙”の看板品「紅梅小紋」。この度、荒井呉服店では竺仙が所蔵する膨大な型紙(柄)の中から数柄をピックアップし、別注として染めて頂きました。今回はそのラインナップより『葵』をご紹介します。



<格子状に太番手の糸を織り込んだ「紅梅織」>


<蝉の羽を思わせる透け感のある生地表情>


染色は板に生地を貼り付け型紙を置き防染糊を塗り付けて、地染めは引き染めで仕上げる小紋染め。また部分的な差し色は全て手挿で行い、そうした彩りが柄に奥行きを与えています。丁寧な職人技があってこそ表現される味わいと美しさ。江戸の昔から続く伝統染色技法の尊さが窺える仕上がりとなります。



<防染糊を塗りつける際に使用する”ヘラ”と引き染めに使用する”刷毛”>


<型紙は和紙を重ね柿渋で固め、防染糊が通るように目の荒い「紗」という生地を貼り付けている>


<板に貼り付けた紅梅織の白生地>


<ヘラを使って防染糊を塗り付ける>


<手際よく防染糊を塗りつけていく>


<青い防染糊が着いた部分が白く、防染糊が付いていない白い部分が青く染まる>





染色技術の進化によって様々な方法で染色が可能となった昨今において、こうした伝統染色技法によって製作される染物は手掛ける職人の減少と共に希少性の高い存在となってしまいました。

手間は掛かるが手仕事で仕上げるからこそ現れる風合いと雰囲気。

言葉では表現しきれないその美しさを是非皆様にもご覧頂きたい。

そんな想いから荒井呉服店ではこの夏も「職人の手仕事」による染物を皆様にご提案致します。



<紅梅織ならではの張りのある質感>


<さりげない赤い差し色>


<布地から漂い出る気品のある雰囲気>


<染め抜かれた「竺仙鑑製」の文字。「鑑」には手本になる、目利き、などモノづくりに対する厳しい思いが込められている>



竺仙鑑製 - 紅梅小紋『葵』

価格:85,800円(税込)


一覧へ戻る